2011-02-20

思い出写真 美ヶ原

 『登りついて不意にひらけた眼前の風景にしばらくは世界の天井が抜けたかと思う。
 やがて一歩を踏みこんで岩にまたがりながら、この高さにおけるこの広がりの把握になおも苦しむ。
 無制限な、おおどかな、荒っぽくて、新鮮な、この風景の情緒はただ身に沁みるように本原的で、尋常の尺度にはまるで桁が外れている。
 秋が雲の砲煙をどんどん上げて、空は青と白との眼もさめるだんだら。
 物見石の準平原から和田峠の方へ一羽の鷲が流れ矢のやうに落ちて行った。』

 山岳と自然を愛した詩人、尾崎喜八は美ヶ原のそのさまを詩集『高原詩抄』の詩「美ヶ原溶岩台地」でこう詩っている。
 いや、まさにその通り、美ヶ原は桁外れに広く、そして美しい場所です。


 さて、本日の「思い出写真」は信州「美ヶ原高原」です。
 訪れたのは「2005年9月8日」(と言っても毎年3、4回は行っている、ゆめなかでもお馴染みの場所ですけど…^^;)


 この日、標高2000mの地、美ヶ原へは北の武石側から登りました。
 一般的には南側のビーナースラインで上り詰めるのがメインルートになりますが、群馬から行くとこちらの方が便利なのです。(とは言え、台風後などは崖崩れで通行止めにもなりがちで、県道からの登り口で「オッ!マイ!ガッ!」ということもこれまで何度かありました^^;)

 上の写真は高原に上がりきる前の「白樺平」。あたり一面白樺林の実に気持ちのいい場所です。


 「ヤッホー!」
 ついでに一緒に「ホットランランラン!」(笑)

 つい叫びたくなるような、とてもいい天気でした。
 下界は残暑の9月の初旬ですが、ここはまるで別天地。
 暑くもなく寒くもなくとにかく爽やかで気持ちのいい陽気だったことを憶えています。


 北側を見下ろすと佐久から上田へと続く盆地、そしてその向こう側には浅間山から続く山並みが見えています。
 雲の動きがダイナミックです。


 それにしても誰が名づけたか知らないけれど此処を「美ヶ原」とはよくぞ名づけたものと思います。
 標高2000mを超える場所に、ここまで広い高原はまさに日本に無二。
 しかもそこへ誰もが快適な道で易々と辿りつけてしまうという、いい意味での俗っぽさ。
 ならば、ここを「美ヶ原」と呼ばずして、いったいどこを「美ヶ原」と呼べようとさえ思うくらいです。^^;

 さぁ、歩こう!ご一緒に!(笑)


 車を山本小屋の駐車場に駐めて、高原散策。王ヶ鼻へと向かいました。


 柵の向こう側にはたくさんの牛さんたちがいます。モーモー!
 標高は高いですが、平坦な台地状の地形なので、美ヶ原牧場と呼ばれる牛の放牧地となっているわけです。
 しかもその歴史は古く、文献によると平安時代より放牧地として利用されてきたそうです。


 散策路は、高原上の牧場の中を通る未舗装の車道なのですが、一般車の通行は規制されています。途中のホテルへ行く車と許可車両のみ。
 徒歩だと約2時間程度で西の端の(かつ頂上とも言える)王ヶ頭へ到着です。


 のどかな東側の風景とは一転して、美ヶ原西端は巨大なアンテナや通信施設がいっぱいです。
 美ヶ原は長野県のほぼ中央。
 標高も高く県内の広範囲を見渡す事ができるので、放送局の送信所を始めとして、NTT、国土交通省、長野県防災行政無線などの中継所、中部電力のマイクロ波反射板などが建てられていて、まさに放送・通信施設の銀座となっています。


 右の建物は「王ヶ頭ホテル」の露天風呂。(笑)
 下界を見下ろしながら、神になった気分で湯に浸れます。
 東南方向を向いているので「ご来光風呂」とも言われているそうですが、残念ながら入ったことはありません。


 とはいえ…今は冬。
 現在の美ヶ原は…
 http://www.ougatou.jp/utsukushigahara.html


 帰路も同じ道を戻りますが、太陽の位置が変わると光が変わり影も変わる。当然、見える景色が変わるので飽きません。まぁ、写真は変わり映えしないけど・・・(汗)




 いや、しかし美しい。

 でも、こんな天気の日なんて一年のうちのホンの一瞬、あまりないんですよね。^^;
 秋は短くすぐに寒くなっちゃうし…

 ということで、この日は約5時間の美ヶ原散策でした。

 < SONY Cybershot DSC-P5 >


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